160回芥川賞受賞作品です。
「1R1分34秒」を読んで文芸賞受賞作品の「青が破れる」も最近読みました。
個人的な解釈としてはこの二つの物語はかなりの一貫性があるのではないかと思います。
それでは書評を。
あらすじ
基本的にぼく、ウメキチ、友達、女の子で構成されていて登場人物は少なくさっぱりとした印象。
プロになって勝てなくなり、なんとなくボクサーを続けていたぼくは奇人で先輩ボクサーウメキチがトレーナーにつく。
そんな中、ジムにきた女の子といつもiphoneをもって撮影する友達とのリアルなエピソードも書き込まれている。
感想
芥川賞らしい文学的な内容
単なるボクシング小説じゃありません。
一言一言が純文学じみてて、エッセイっぽさもあります。
決して読みやすいことはないんですが、僕はこう二捻りくらいした言葉や内容がとても好きでしたね。
ボクサーのリアルすぎる心情
僕自身ボクサーにもなったことないし、スポーツでここまで追い込んだことはないのですが、ボクサーになったような感覚にさせてくれました。
飢餓感、情調の乱立、孤独感、自分も深く読みすぎてぼくと同じく厭世的になりそうなそのくらい文章には恐怖をかんじました。
青が破れるのパラレル世界?
登場人物の名前になんとなく既視感を覚えました。
青が破れるでは作者の死生観が存分に表れてました、この作品もそういう場面はないことはないですが、死者がいませんでした。
そういうどこかの分岐で個人的にはパラレルワールドか前日譚みたいな感じかなと思いました。
最後に
僕としてはこの1R1分34秒とても満足する作品でした。
作者の熱情が熱く、自分も奮い立たせてくれるそういう文章でした。