第138回芥川賞受賞作品となります。乳と卵。
川上未映子さんの作品はあこがれを以前に読みました。
その作品とは全く違った内容ですが、いい意味で彼女らしさが出ていた作品だったのではないでしょうか。
それでは書評を。
あらすじ
登場人物は主人公の私。その姉の巻子。巻子の娘、緑子。で話は展開。
大阪に住む親子2人は私の住む東京に3日間滞在したいと上京してきます。
巻子は何のためか豊胸手術を受けることに強く拘りがある。
一方の緑子は反抗期真っただ中で言葉を発さず、筆談で会話をおり、
性に対して嫌悪感を抱いている。
この3日間で親子は何を解決し、心の邂逅は訪れるのか。
感想
こてこての大阪弁が頭にガツンとくる
読んで2ページ目からがっつりの関西弁が現れてきます。
それがまた心情とか生々しさを表している文が多いんです。
もしかしたらこの流れるような文章は読みにくいと感じる方はいるかもしれません。
でもそれがこの小説の強みではないでしょうか。
緑子の性との葛藤
物語の随所に登場してくる緑子の手記が興味深いです。
この手記を読んでるとタイトルの意味がわかってくると思います。
女性になることの悩み、体の性徴。生々しく伝わりやすかったです。
親子の卵のぶつけ合い
終盤になって漸く緑子が「お母さん」と声を発します。
そこで母の巻子と緑子が生卵のぶつけ合いを始めるんです。
どうして豊胸をしたいのか、自分の性のこととか、無性に腹が立っているというのが窺えます。
声を出せないんじゃなくて出さなかった、大好きなお母さんと喧嘩してしまうから。
そんな緑子のやさしい一面も理解できました。
最後に
本当はもっと内容が深いんですがこれ以上書くと長すぎるのでこの辺にしておきます。
この小説は少し癖がありもしかしたら読みづらいと思う人もいるかもしれません。
でも最後まで読んでもらいたい、そんな中身のつまった作品です。